サービス窓口が3つの待ち行列の計算。(平成16年春ソフトウェア開発技術者午後1問4)

 今回解いてみたIT試験の過去問は、IPAの平成16年春ソフトウェア開発技術者(現・応用情報技術者)午後1問4からの出題で、Webサーバのアクセス負荷分散を扱った内容です。

 この問題も問3に引き続いてシステムアーキテクチャ(情報システム構成)分野らしいです。ネットワーク図が記載されていることから、一見ネットワーク分野に見えますが、待ち行列理論を用いて処理速度を求めるテーマになっているため、システムアーキテクチャ(情報システム構成)分野に分類できると思う。

 そうなると、平成16年春は、午後1でシステムアーキテクチャ(情報システム構成)分野が2題出題されたことになります。

平成16年春ソフトウェア開発技術者午後1問4(システムアーキテクチャ)

平成16年春ソフトウェア開発技術者午後1(PDFファイル)

(引用ここから。解答を入れるための空欄の形式など一部改変があります。)

問4 Webを用いた情報提供システムに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

〔現在のシステム構成〕
 A 社では,Webを用いた情報提供サービスを行っている。そのシステム構成を図1に示す。現在の構成では,提供すべき情報コンテンツの種類ごとに3 台のWebサーバ にファイルを分散配置している。社内LANには,コンテンツの作成やシステムの運用・保守などに用いるテスト用Webサーバやパソコン(PC) が接続されている。
 最近,利用者の増加によって,利用者から,A 社のWebページにアクセスできない情報のダウンロードに以前より時間がかかるなどの苦情が寄せられるようになった。 そこで,A 社では,現在のアクセス状況を調査した上で,Webサーバの構成を再検 討することにした。

https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2004h16_1/
2004h16h_sw_pm1_qs.pdf
平成16年春ソフトウェア開発技術者午後1問4 システム構成図

〔システム構成の見直し案〕
 アクセス状況を調査したところ,Webサーバ1~3の間に,負荷のアンバランスがあることが判明した。A 社では,負荷が均等になるようにファイルを再配置することも検討したが,将来的に各ファイルへのアクセス状況が変わると,再び負荷のアンバランスが発生するであろうことを考慮し,次の方策をとることにした。

・磁気ディスク装置を増設して,各Webサーバで同一のファイルを重複して保持するようにする。
・各Webサーバの負荷の状況を1 分ごとに監視しておき,アクセス要求があったときには,直前の監視結果において最も負荷が少ないWebサーバにアクセスを振り分ける”振分けサーバ”を導入する。

設問 A社では,当初,見直し案によるシステムの性能は,M/M/3モデルを用いて解析できると考えた。しかし,その後の検討によって,見直し案におけるWebサーバ上 での処理時間は,実際には,M/M/3モデルを用いて解析した結果とは一致しないと想定されることが判明した。

(1) M/M/1モデルの模式図を次の図2に示す。この図にならって,M/M/3モデルの模式図を描け。

https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2004h16_1/
2004h16h_sw_pm1_qs.pdf
平成16年春ソフトウェア開発技術者午後1問4 M/M/1モデルの模式図

(2) A社のシステムのアクセス件数は1 秒当たり平均10 件,アクセス1 件の平均処理時間は70 ミリ秒である。見直し案がM/M/3 モデルに従うと仮定した場合の,待ち時間を含めたWebサーバ上での平均処理時間を求める手順に関する次の記述中の[a]~[f]に入れる適切な数値を答えよ。答えは小数第3 位 を四捨五入して,小数第2 位まで求めよ。
 なお,M/M/nモデルにおける平均待ち時間は,次の式で算出される。

https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2004h16_1/
2004h16h_sw_pm1_qs.pdf
平成16年春ソフトウェア開発技術者午後1問4 平均待ち行列の計算式

 ここで,λは平均到着率,ts は平均サービス時間である。P は,すべての窓口がサービス中である確率で,図3のグラフで表される。
 なお、図3の横軸はトラフィック密度u=λts である。

https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2004h16_1/
2004h16h_sw_pm1_qs.pdf
平成16年春ソフトウェア開発技術者午後1問4 トラフィック密度とサービス中である確率の関係

 λ=[a](/秒),ts =[b](秒)であるから,u=[c]となる。グラフから,m=3, u=[c]のときのPは[d]となる。
 したがって,平均待ち時間,[e]ミリ秒となり,待ち時間を含めた平均処理時間は,[f]ミリ秒となる。

(3) 見直し案における待ち時間を含めたWebサーバ上での平均処理時間は,M/M/3モデルを用いて解析した結果とは一致しないと想定される理由に関する,次の記述中の[g],[h]入れる適切な字句を答えよ。
 見直し案では,アクセス要求が到着した時点でそれを処理するWebサーバを決定している。したがってこのシステムでは,アクセス要求は[g]に処理されるとは限らない。この点がM/M/3 モデルとの相違となる。実際には,待ち時間を含めた平均処理時間は,M/M/3モデルに基づいて計算した時間よりも[h]なることが想定される。

https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2004h16_1/
2004h16h_sw_pm1_qs.pdf

(引用ここまで)
 解答と解説については、「2」のページに記載しています。

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