解答です。
設問1
[a]:ク [b]:カ [c]:イ
設問2
部署移動に伴うサブネット構成の変更に対応するため
設問3
[d]:1,3 [e]:タグ付き [f]:2,3 [g]:タグ付き [h]:2,3 [i]:タグ付き [j]:2,3 [k]:タグ付き
[l]:2 [m]:タグ無し [n]:2 [o]:タグ無し [p]:3 [q]:タグ無し [r]:3 [s]:タグ無し
設問4
コアスイッチ/2番
2階フロアスイッチ/1番
2階フロアスイッチ/4番
2階フロアスイッチ/5番
3階フロアスイッチ/5番
解説してみた。
設問1
・[a]について
レイヤ3スイッチングハブ(L3スイッチ)とルータは、どちらのネットワーク層で通信のルーティングを行いますが、次のような違いがあります。
L3スイッチは、本文中に「大容量のファイルを扱うファイルサーバーへのアクセスや,映像コンテンツの利用には,スイッチが適している。」とあるように、通信の処理速度(スループット)が大きいです。その一方で、扱えるプロトコルはTCP/IPに限定されます。
ルータは、TCP/IP以外のプロトコルに対応するなど多機能な一方で、スループットはL3スイッチに劣ります。
よって、[a]には「ク」(通信の高速性)が入ります。
・[b]について
VLANは、接続しているポートやパケットに付けられたタグを用いて、機器が所属するネットワーク(ブロードキャストドメイン)を決定します。これにより、機器の物理的な配置に関係なくネットワークを構成することができます。ポートやタグの設定を変えることにより、必要に応じて機器が所属するサブネットを柔軟に変更することも可能です。
よって、[b]には「カ」(サブネット構成の変更)が入ります。
・[c]について
VLANの規格はIEEE802.1Qで標準化されているので、[c]には「イ」(IEEE802.1Q)が入ります。ちなみに、IEEE802.1Xは、RADIUSサーバなどの認証関係の規格となってます。
設問2
タグVLANであれば、パケットに付いたタグで所属ネットワークを分けられるので、複数のネットワークに属する通信を1本のケーブルでやり取りできます。このため、部署のフロア間移動などで機器の物理的配置が変わっても、そのままの設定で使うことが可能です。
このことから、「部署移動に伴うサブネット構成の変更に対応するため」などの解答が考えられます。
IPA公式解答は、「一つの部署が複数のフロアに分かれていることから,サブネット構成を柔軟に変更できる必要があることを,適切に記述していること」となっています。
設問3
表1と表2から、ポートにどの部署の通信が流れるか調べていきます。複数部署の通信が流れるポート(トランクポート)場合は、どの部署の通信か区別するためにタグを付ける必要があります。1つの部署の通信だけが流れるポート(アクセスポート)場合は通信の区別が必要ないため、タグ無しでOKです。
・[d],[e]について
コアスイッチと1階フロアスイッチ間は、総務部と営業部の通信が流れるので、タグIDは1と3で、タグをつける必要があります。よって、[d]には「1,3」、[e]には「タグ付き」が入ります。
・[f],[g]について
コアスイッチと2階フロアスイッチ間は、技術部と営業部の通信が流れるので、タグIDは2と3で、タグをつける必要があります。よって、[f]には「2,3」、[g]には「タグ付き」が入ります。
・[h],[i],[j],[k]について
コアスイッチと3階フロアスイッチ間は、技術部と営業部の通信が流れるので、タグIDは2と3で、タグをつける必要があります。よって、[h]と[i]には「2,3」、[j]と[k]には「タグ付き」が入ります。
・[l],[m]について
3階フロアスイッチと末端スイッチ3A間は、技術部の通信だけが流れるため、タグIDは2で、タグをつける必要はないです。よって、[l]には「2」、[m]には「タグ無し」が入ります。
・[n],[o]について
3階フロアスイッチと末端スイッチ3B間は、技術部の通信だけが流れるため、タグIDは2で、タグをつける必要はないです。よって、[n]には「2」、[o]には「タグ無し」が入ります。
・[p],[q]について
3階フロアスイッチと末端スイッチ3A間は、営業部の通信だけが流れるため、タグIDは3で、タグをつける必要はないです。よって、[p]には「3」、[q]には「タグ無し」が入ります。
・[r],[s]について
3階フロアスイッチと末端スイッチ3B間は、営業部の通信だけが流れるため、タグIDは3で、タグをつける必要はないです。よって、[r]には「3」、[s]には「タグ無し」が入ります。
設問3
部署配置変更により、
・2階のブロックCとDが、技術部→商品開発部
・3階のブロックBが、技術部→営業部
になっています。
これに従って表2VLANスイッチ構成を修正すると、次のようになります。設定変更が必要になったポート番号には、〇がついています。
設定変更が必要なスイッチとポートの組み合わせは、
・コアスイッチ 2番
・2階フロアスイッチ 1番
・2階フロアスイッチ 4番
・2階フロアスイッチ 5番
・3階フロアスイッチ 3番
の5つになります。
IPAの公式解答はこちら。
平成17年秋ソフトウェア開発技術者午後1 IPA公式解答(PDFファイル)
今回は記入する必要がある解答欄が多かった。どの部署のパケットがポートを通るのか把握できればサクサク埋まっていくので、とりあえずは何とかなりました。
現時点では個人ユーザーであればVLANは縁が無いかもしれないですが、今後のIot化によってネットワークに接続する機器を個人が大量に扱うようになれば、VLANを使ってネットワークを整理することが求められるようになるかもしれない。そのような時代が到来した場合に備えて、個人ユーザーもVLANについて押さえておくことは悪くないかもしれない。