サービス窓口が3つの待ち行列の計算。(平成16年春ソフトウェア開発技術者午後1問4)

解答です。

(1)

平成16年春ソフトウェア開発技術者午後1問4 M/M/3モデルの模式図

(2)[a]:10 [b]:0.07 [c]:0.7 [d]:0.04 [e]:1.22 [f]:71.22

(3)[g]:到着順 [h]:長く

解説してみた。

(1)M/M/3モデルは、待ち行列1列に対して、サービス窓口が3つあるモデルです。待ち行列の先頭に来たら、到着順に3つの窓口に割り振られます。よって、「解答です。」の(1)のような模式図になります。

(2)
・[a],[b],[c]について
 文中に「アクセス件数は1 秒当たり平均10 件,アクセス1 件の平均処理時間は70 ミリ秒」とあるので、λ=10(/秒),ts=0.07(秒)となります。そして、トラフィック密度u=λtsなので、u=0.7になります。よって、[a]には「10」、[b]には「0.07」、[c]には「0.7」が入ります。
・[d]について
 窓口数は3なので、(3)の曲線を使用します。 トラフィック密度 u=λts=0.7なので、(3)の曲線が0.7のときのPの値は0.04になってます。よって、[d]には「0.04」が入ります。

平成16年春ソフトウェア開発技術者午後1問4 トラフィック密度からサービス中である確率を求める解説


・[e]について
 平均待ち時間は、Pts/(m-λts)の式で計算できるので、数値を当てはめて計算して小数第2 位まで求めると、

0.04×0.07/(3-0.7)=0.0028/2.3=1.22×10-3(秒)

になります。待ち時間はミリ秒で求めるので、[e]には1.22が入ります。
・[f]について
待ち時間を含めた平均処理時間=待ち時間+平均処理時間で、[e]で求めた待ち時間が1.22ミリ秒、平均処理時間が70ミリ秒なので、待ち時間を含めた平均処理時間は71.22ミリ秒になります。よって、[f]には「71.22」が入ります。

(3)
・[g],[h]について
 待ち行列理論では、ランダムにサービス要求が到着して待ち行列に並ぶとともに、サービス窓口が到着順を守ってサービス要求を処理します。それに対してA社のシステムは、サーバの負荷状態に応じて1分ごとに最も負荷が少ないWebサーバにアクセスを振り分けることから、1列の待ち行列が3つに分割され、「待ち行列1つ、サービス窓口1つ」が3つ作られることになります。

 そうなると、必ずしもサービス要求(今回はアクセス要求)の到着順にサービスが処理されるとは限らないです。

 利用率が同じ場合、「待ち行列n列、サービス窓口n個」のモデルの方が、「待ち行列1列、サービス窓口n個」のモデルよりも、平均待ち時間が長くなります。詳細は、こちらの記事で解説されています。よって、[g]には「到着順」、[h]には「長く」が入ります。

IPAの公式解答
平成16年春ソフトウェア開発技術者午後1 IPA公式解答(PDFファイル)

 問3に引き続き、問4も情報システムについての計算問題になってました。グラフを読み取りながら、手順に従って待ち行列についての数値を求めていきます。計算が面倒だったことに加え、「待ち行列1列、サービス窓口n個」(M/M/n)と「待ち行列n列、サービス窓口n個」(M/M/1が3つ)の違いの把握がなかなか難しい。

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