IP電話システムの信頼性を評価する。（平成20年春ソフトウェア開発技術者午後１問４）

　今回解いてみたIT試験の過去問は、システムアーキテクチャ（情報システム構成）分野になります。IPAの平成20年春ソフトウェア開発技術者（現・応用情報技術者）午後１の問４からの出題で、IP電話システムの信頼性評価がテーマになっています。　

　一見ネットワーク分野の問題に見えますが、MTBF、MTTR、稼働率といったシステムの信頼性について問われていることから、システムアーキテクチャ分野に分類した方がいいかもしれない。

平成20年春ソフトウェア開発技術者午後１問４（システムアーキテクチャ）

（引（引用ここから。解答を入れるための空欄の形式など一部改変があります。）

問４　IP 電話システムの信頼性評価に関する次の記述を読んで，設問１～３に答えよ。

　Y 社では，現在，社内電話の交換装置としてディジタルPBXを利用しているが，通話料と運用コストの削減，及び業務の効率化を目的として，SIP (Session Initiation Protocol）を用いた，図に示す二重化方式のIP 電話システムの導入を検討することにした。このIP 電話システムは，内線番号を用いた通話接続の場合には，次の手順で通話を行う。
(1) IP 電話機は，INVITE（招待）メッセージをSIP サーバに送信する。
(2) SIPサーバは，応答信号をIP電話機に送信する。
(3) IF電話機は，通話先の電話番号を送信する。
(4) SIP サーバは，通話先の電話番号に対応したIP 電話機のIP アドレスを抽出する。
(5) SIP サーバは，通話先のIP 電話機にINVITEメッセージを送出し，呼出し処理が行われる。
(6) 通話先のIP 電話機が応答すると，SIP サーバは，成功を発信元のIP 電話機に伝え通話が開始される。
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2008h20_2/
2008h20a_sw_pm1_qs.pdf

　また，公衆電話網に接続されている一般電話機に接続する場合には，手順(4)でIP 電話システムと公衆電話網の中継を行うゲートウエイ（GW）のIP アドレスを抽出し， GW 経由で公衆電話網に接続し，一般電話機を呼び出す。
　なお，このGW は，SIP サーバの機能のうち，手順(2),(5), (6)に準じる動作を行うことによって，公衆電話網に接続されている一般電話機に接続することも可能である。
　図のデータセンタのSIPサーバ1とSIPサーバ2及びL3-SW1とL3-SW2は，それぞれ，一方がアクティブ状態，他方がスタンバイ状態で動作しており，アクティブ状態の装置が故障した場合には，SIP サーバとL3-SW が独立で良好な装置へ短時間で切り替わって，処理を継続することができる。
　また，IP電話機には，INVITE メッセージなどのSIP信号の送信先として，複数のIP アドレスを設定することができる。このIP 電話システムの信頼性について，表に示す三つの信頼性指標で評価することにした。
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2008h20_2/
2008h20a_sw_pm1_qs.pdf

〔WANがが故障した場合の対策〕
　図でWAN が故障して，IP パケットを伝送できない場合には，IP 電話機と一般電話機との通話及びIP 電話機同士の通話ができなくなってしまう。このようなWAN 故障の場合でも，本社のIP 電話機と一般電話機との通話接続を可能とするためには，[f]にSIPサーバのIP アドレスに加えSIPサーバ故障時のルーティング先として[g]のIP アドレスを設定しておく。さらに，本社のIP 電話機同士で，内線番号を用いた通話接続を可能とするためには，[h]を移設して，[i]に接続するように変更する。

設問１
　表中の[a]～[e]に入れる適切な字句又は式を答えよ。
　[a]，[c]については，解答群の中から選び，記号で答えよ。[b]，[d]，[e]については，図のIP電話システムについて，ある期間での総稼働時間をT，総故障件数をF，総修理時間をR とした場合の式を答えよ。

a,c に関する解答群
ア　MTBF
イ　MTTR
ウ　RASIS
エ　TCO
オ　安全率
カ　故障率

設問２
　図のIP電話システムにおいて，SIP サーバ1 台当たりの稼働率をS, L3-SW I 台当たりの稼働率をX, WAN の稼働率をW, L2-SW 部1 及びL2-SW部2 の稼働率をそれぞれL とした場合，次の（1)～(3)の確率を表す式を解答群の中から選び，記号で答えよ。ただし，ここでは，IP電話機の故障については考えない。

(1) データセンタのSIPサーバ部の稼働率
(2) データセンタのL3-SW部の稼働率
(3)本社と支社の間の内線通話が行えない確率
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2008h20_2/
2008h20a_sw_pm1_qs.pdf

設問３
　本文中の[f]～[i]に入れる適切な装置名を解答群の中から選び，記号で答えよ。

解答群
ア　GW
イ　IP電話機
ウ　L3-SW1又はL3-SW2
エ　L3-SW3
オ　L3-SW4
カ　SIPサーバ1又はSIPサーバ2
キ　WAN
ク　ー般電話機
ケ　公衆電話網
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2008h20_2/
2008h20a_sw_pm1_qs.pdf

（引用ここまで）
　解答と解説については、「２」のページに記載しています。